ピアノの記憶・4

ピアノは小学校2年生から6年生まで習っていました。
ただ、小学校の4年生の時に一時的に引っ越しをしたことがあり、その時1年間はピアノのお稽古をお休みしていました。
ずっと同じピアノの先生だったのですが、場所は一度、変わりました。
最初のピアノ教室は、公文の教室も兼ねた古びたアパートの2階。
自宅からは歩いて数分の場所でした。
外付けの階段を登って、きしむドアを開け、薄暗い部屋でピアノを弾いたり、算数の問題を解いたりしたのを覚えています。
カビっぽいにおいの畳も覚えています。

小学校5年生になって、1年ぶりにピアノのお稽古を再開しようとしたら、ピアノ教室の場所が移転していました。
公文の教室からピアノの先生の自宅マンションになっていたのです。
ピアノの先生のマンションまでは、車で10分くらい。小学生の足ではちょっと歩いては行けない距離でした。
ピアノの先生を変えることも考えたけれど、近くにいいピアノ教室もなくて、結局、同じ先生にピアノを習うことにしました。
どうしてピアノ教室の場所が変わったのかは、よくわかりません。おそらく先生の都合だとは思いますけれど。

新しいピアノ教室、ピアノの先生の自宅マンションは、ライオンズマンション。
エントランスには来客用のインターホンがあり、部屋番号を入力するとピアノの先生の部屋につながるのでした。一戸建て暮らしの私には、とてもハイテクに感じられたものです。
玄関から入ってすぐの部屋が、ピアノの教室になっていました。
ピアノは相変わらずアップライトピアノ。
以前のピアノ教室から持ってきたものだったのかもしれません。
時折、ピアノ部屋の向こうから、ピアノの先生の家族らしき人の気配や笑い声が聞こえてきていました。


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